
「健康の結論」第0章を無料公開!ホリエモンが医師たちに徹底取材して分かった、人生100年時代に「自分を守る技術」とは?
2018.10.10
★いま「健康」は、究極の資産である――。次世代のライフスタイル革命論★
僕は200年生きると決めた。
極論だが、平均寿命が延びて「人生100年時代」と言われる今、あと20年後もすれば技術的には120歳まで生きるのなんて楽勝な世界になっているかもしれない。
それなら僕はもっと生きたい。
生き続けるために、最も重要で確実な「結論」はたった一つ。
それは、「防げる死を防ぐ」ことだ。
屁理屈のように聞こえるかもしれないし、なんだそれだけかと思うだろうが、これができずに多くの人が命を落としているのが日本の現実だ。
「防げる死を防ぐ」とは、いったいどういうことなのだろうか。
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そもそも医師ではない僕が、なぜ健康や医療を語るのかを少し説明しよう。
今、日本人のおよそ3人に1人はがんで死に、さらに3人に1人は心臓病か脳卒中で亡くなり、残りの人もほとんどが肺や腎臓などの病気で命を落とす。少し前までは僕も特殊な医療技術が開発されないと、健康で長生きなんてできないんじゃないかと思い込んでいた。
ところが、調べていくと「検査を受けて、予防する」、たったこれだけのことで治療が難しい病にかかる可能性がだいぶ減らせることが分かった。しかし、この簡単なことが思いのほか知られていないし、やっていない人があまりに多い。
2015年10月、僕は「予防医療普及協会」(https://yobolife.jp/cms)の活動を始めた。
よく「なぜホリエモンは急に健康や予防医療に関心を持ち始めたの?」と尋ねられるが、僕にとっては今に始めたことではなく、数年前から構想してきたことが実現して、ようやく世の中の人に自分の主張が受け入れられたというだけである。
繰り返し言わないと伝わらない部分もあるので、前置きとして僕がなぜ予防医療に関心を持ったのかを少し説明しておきたい。
ロケットエンジン開発などもそうだが、僕はこれまでも最新の科学技術に強い関心を持ち、機会があれば興味のある分野の第一人者を訪ねて話を聞いてきた。その様子は、定期的に「HORIEMON.COM」(http://horiemon.com)というオウンドメディアや毎週のメルマガで記事として発表してきた。
あるときそうした取材のなかで、胃がんとピロリ菌の関係について研究している上村直実先生(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 国府台病院)に出会った。胃がんとピロリ菌の関係性について研究し、世界的な成果をあげている方だ。
上村先生によれば、「少なくとも日本人に関しては、胃がんの99%はピロリ菌」が原因だと分かっている。ピロリ菌を除菌すればかなりの割合で胃がんは予防ができるが、日本では医療者の他にあまり知られておらず、毎年5万人もが胃がんで亡くなってしまう、という。
たしかに僕は以前、人間ドックで胃の内視鏡検査をしてピロリ菌検査自体は受けていた。しかし陰性だったせいか医師からは特に説明もなく、検査結果の紙を見ても「なんだろな、このピロリ菌マイナスって」くらいの認識だった。
医学界では常識かもしれないが、胃がんのほとんどは細菌感染が原因だったとは正直、そこで初めて知ったのだ。
健康に割と意識が高いほうだと思っている僕でもその程度の認識なのだから、知らない人は大勢いるのではないか。
「防げる死を防ぐ」方法があるのに、知られていない。
これは乳がんにおける早期発見・早期治療のための「ピンクリボン運動」みたいに、「ピロリ菌検査キャンペーン」が必要なんじゃないか。
そう考えたのが始まりだった。
上村先生は「ザ・研究者」という感じの方で、「この研究によって、99%の胃がんを予防するための医療を切り拓く道は作ったから、自分は残りのピロリ菌由来ではない胃がんの原因について研究している」とおっしゃった。
その職人にような心意気に触れて、僕は「じゃあ99%の胃がんを撲滅する運動をやりましょう!」と言ったのだった。
その後、実際にピロリ菌除菌キャンペーンをおこない、次に大腸がん予防のキャンペーンに取り組み、現在は女性の「子宮頸がん」の原因となる「HPV(ヒトパピローマウィルス)」を予防するための啓発キャンペーンを企画している。
この情報格差が寿命を決める
日本では、科学や医療にまつわる情報が混沌としている。
専門家のための専門誌や論文はあっても、一般向けとなると急にお手軽な「健康法」のような信憑性の薄いもののほうが受け入れられやすい。ともすれば「肝臓がんは予防できる」「子宮頸がん予防ってどうなの?」というような医療トピックスと、「水素水って健康にいい」「はちみつでピロリ菌は死ぬ」といった根拠の乏しい健康法が同列に扱われていたりもする。
今はその気になればネットで医学論文が読めるし、最先端技術の情報だって手に入る。それなのに、知っていれば死ななくてすむかもしれない重要な情報は周知されていない。
僕の役割は、玉石混交の情報の中から医師の側が持っている科学的根拠のある正しい情報をピックアップし、一般の人にも分かりやすく提示して、普及させていくことだと思っている。医療分野に足りていないPRやシステムを構築するような活動を、あえて僕のような医療の専門家ではない立場から担うことで、日本の医療情報の格差を埋めていきたいのだ。
医師たちとのつながりで見えてきた合理的な生き方
また、最近は特に診療科を横断した医師同士のつながりの必要性も感じている。予防医療普及協会には複数の診療科の医師たちが集っている。あるときミーティングで医師たちの話を聞いていたら、こんな話を耳にした。
耳鼻咽喉科で患者が治療中にうがいをしたときの廃液を集めたものを調べると、かなりの割合で、宮頸がんの原因となる「HPV」が見つかるというのだ。HPVの多くが咽頭にもいて、咽頭がんの原因にもなるから欧米では男性もワクチンで予防するのだと聞いて、実際僕はワクチンを接種しました(この話は第6章で詳しく解説する)。
これは一例にすぎない。もっと身近なところでは糖尿病の治療と歯周病が関連するなど、診療科同士に交流があればもっと効率よく予防医療が促進できる場合は非常に多いのだが、内科と歯科は意外に垣根が高い。
そうした矛盾を少しでも解決するため、今年6月に予防医療について医療者を中心に議論するオンラインサロン「予防医療を習慣化する with 予防医療普及協会 ~未来の健康をつくる~」(https://lounge.dmm.com/detail/1025/)を立ち上げた。
生き続けるための武器を掴みとれ
ときどき「ホリエモンは予防医療をビジネスチャンスと見ているのか、世の中に広めたいという思いから取り組んでいるのかどちらか?」という質問を受けるが、それは両方だ。マネタイズと普及活動は両輪で、ビジネスでお金を稼ぎながら稼いだお金をビジネスに突っ込むということをやらなければ、認知してもらえない。
基本的に啓発活動はアーリーアダプターの人までしか響かない。キャズム理論でいうところの世の中の15%未満の人たちだ。僕のやっている取り組みも現状はまだ一部の意識の高い人たちが反応してくれている段階かもしれない。それでもずっと続けていけば、いつ何かのきっかけでキャズムを越える瞬間がボンとやってくるかもしれない。
これからは死ぬことよりも、生きることが重要になる時代だ。
イモータル(不死)が無理でも、「非死」の時代は間もなく来るんじゃないかと僕は考えている。事故で死ぬことは依然としてあるかもしれないが、やがて技術的には病気や老衰で死ななくなる将来が実現される。
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「防げるはずの死」が放置されがちな日本の現状についても問題提起しています。
一冊を通して胃がんや大腸がん、子宮頸がんのように予防の手立てがすでにあるのに死亡者数が多い病気や、「防ぎたい死」の重要なものとして自殺や突然死予防の可能性を探っています。
【本書の目次より】
はじめに 高パフォーマンスで人生100年時代を生きる戦略
第1章 働き方のアップデート法(次世代を生きる)
第2章 生きるモチベーション(メンタル管理と自殺予防)
第3章 命を救う行動力(心臓突然死を防ぐ)
第4章 がんで死なないために(病気予防の考え方)
第5章 脳をクリアに保つ(脳血管疾患を防ぐ)
第6章 いま知っておくべき「HPV」とは?(産婦人科医に聞いた話)
第7章 歯周病予防で全身を守る(日常習慣を変える)
第8章 ホリエモンの予防医療サロン(落合陽一編)
おわりに 予防医療で人生のワンクリックを減らす